こんにちは!学生支援団体AMO共同代表の石橋です。
今回は、「SDGsにおけるITの可能性」について、個人的に思っていることを書こうと思います。
なぜこの記事を書こうとしたかというと、「SDGsをITで解決する」という概念自体が、皆さんにとってあまりなじみのない話だと思ったからです。
私たちAMOは「社会課題をITの力で解決できる人材の育成」をミッションに活動しています。
この活動理念を決めた意図と狙いについてお話します。
そもそも、SDGs解決には何がネックなの?

今まで多くの人がSDGs解決のために奔走し、世界的にもパワーワードになりつつある現状なのに、どうして問題が問題のまま残るのか?
個人的には以下の3つがネックになっていると思います。
ネックポイント① 人手・資金・技術等、物理的な制約
何事でも、問題を解決しようとしたら多くの人や労力、資金が必要になります。
ましてやSDGsのような、時には世界規模で起こっている問題を本気で解決したいのであれば、途方もないほどの支援が必要です。
もし仮に、今記事を見ていただいているあなたが、貧困にあえぐ人たちを助けたいと決心して、現地支援ができるプロジェクトに参加し、一定期間そこにコミットしたとしましょう。
それ自体はものすごく大きな決心であり、本当に感謝されるべきことです。しかし、この問題を真に解決したいのであれば、もっと多くの方々の協力が必要ですし、いずれは限られた制約の中でしか支援できない現状をもどかしがるようになると思います。
他のSDGsに策定されているあらゆる課題についても、解決のためには、私たちが想像している以上のリソース・支援が必要です。
ネックポイント② 経済的・環境的・政治的制約
今度は、①よりももっと大きな話です。SDGsの中には、紐解くと国家・民族的な背景が根強く絡んでいるものが多いです。
例えば難民の方々にとって、支援の終わり=ゴールは「支援を必要としない状態まで社会的・経済的に自立する」ことです。
しかし様々な理由によって故郷を追われ、今も故郷が紛争などの渦中にある人たちが数千万規模で存在しますが、その多くの人たちは故郷を追われたことで生活基盤や職業など、自立に必要な要素を失ったままです。
残念ながらこちらも、一個人が立ち上がったところで簡単に解決できる問題ではありません。それこそ、国家的・国際的な協力が必要になります。
ネックポイント③ 人々の認知不足・理解不足
②ほど話は大きくないですが、周りの人々の認知不足。理解不足によって起こる問題もあります。
話題にのぼって久しいLGBTも、もともとは「男は『男らしく』、女は『女らしく』すべきだ」という一つのものさしに、すべての人を当てはめようとしたから生じた課題だと思います。
「他人をちゃんと理解しよう」という周囲の呼びかけや、理解しようとする姿勢がもう少しあったなら、これほどLGBTについて取り上げられることはなかったのではないかと思います。
また①に絡めて言うと、SGDsのある特定の分野を解決しようとする場合、そこに課題意識をもち、事情を知っている一部の人が主導する場合が多いです。
しかし一部の人がいくら頑張ってもリソースが足りない場合が多く、だいたいは周囲への啓蒙・情報発信をセットにしてミッションを別の人が担って連携する場合が多いです。
SDGsの真の解決のためには、③の解決も絶対に欠かせない要素です。
上記①~③のうち、個人や小規模の団体として取り組む意義があるのは③かなと、個人的には思います。
自分一人ができる力は小さくても、周囲への広報や啓蒙活動を通して、ほかの人たちを巻き込んで一緒に課題に取り組んだり、支援したりすることはできます。
こういう活動の積み重ねの結果、ネックポイント①②の状況が動くことに繋がるのではないか、とも考えています。
IT技術を通してできること

次に、SDGsの様々な現状に対して、AMOはどのように関わろうとしているか?をお話すべく、
まずは私たちが考えるIT技術の可能性についてお話します。
IT技術は、大きく分けて下記の2つの特徴があると考えています。
特徴① タスク・プロジェクトの効率化
前述のネックポイント①でもお伝えしましたが、何か課題に取り組む際、その課題が大きいものであればあるほど、リソースや物資の管理は不可欠になります。
IT技術は、本来なら人間がしなくてもよい部分を代替したり、機械学習などによってより効率的な方法を提示することで、この貴重なリソースを最大化します。
ただし、目的はあくまで「課題解決」であり、効率化はそこにリソースを注ぐための「手段」でしかありません。
AMOはSDGsの解決により実質的に携わるべく、この特徴よりは次の二つ目の特徴に注目しています。
特徴② 情報の共有・拡散
今やTwitter・FacebookといったSNSや、ZOOMやMicrosoft Teamsといったコミュニケーションツールは、生活に欠かせない時代となりました。
そこでは個人が情報の発信源となり、多くの人に情報を発信することができます。
こうした既存のITツールを使って情報発信もできる一方、WEBサイトやアプリケーションを自作することで、デザインや機能をカスタマイズし、よりオンライン上で人々に行動を起こさせる仕組みを作ることもできます。
IT技術をうまく活用することで、既存の方法だけでは限られていた情報発信・啓蒙の幅を広げることが可能だと、私たちは考えています。
そしてAMOは、私たちが持っているITのノウハウや技術を、私たちだけにとどめるのではなく、
ほかの未来のある学生たちに広げていく「教育」に重点を置きたいと考えました。
以上より私たちは、
SDGsを取り巻く「人々の認知不足・理解不足」という問題にフォーカスし、
IT技術の「情報を拡散する力」によってSDGsにアプローチできる人材を育てる、
というコンセプトを掲げて活動しています。
具体的な活動:Youth×UNHCR for Refugeesとの共同プロジェクト

最後に、現在実施しているプロジェクトについて説明します。
私たちAMOは、難民問題に取り組む全国の学生団体が集まった、Youth×UNHCR for Refugeesと一緒に、アプリ開発のプロジェクトを実施しています。
国連の中でも難民問題をドメインとする国際機関、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が支援する団体です。
このように一緒にさせていただくご縁をいただいたのも、まさに先述した「人々の認知不足・理解不足」が、UNHCRさんの課題感として明確にあったからです。
特に日本では、難民の方々の現状に関して理解している方が少なく、その中でもとりわけ若年層に対しての啓蒙が課題となっていました。
その課題に対して取り組むべく、全国の学生団体と協力してイベントやSNSでの発信等の様々な活動を実施してこられたそうですが、啓蒙に効果のある新しい取り組みを模索していらっしゃいました。
そんな中、AMOが提供するITのノウハウや教育に期待していただき、一緒にプロジェクトを実施しています。
上記のご縁から合同プロジェクトを実施し、ついに成果物をリリースすることとなりました。
難民を応援する声を、全国から集めるWEBプラットフォームとして、アプリケーションを作成しました。ぜひ見てみてください!
アプリURL https://fly-your-message.com/
アプリの概要と使い方はこちら https://making-oasis.com/2021/07/11/web-fly-your-message/
以上、「SDGsをITで解決するとは?」この疑問に対するAMOなりの答えと、実際の活動紹介をさせていただきました。
来週は「ITで課題解決するためのフロー:fli-your-messageの企画から開発まで」を掲載予定です。
興味があればぜひご覧ください!